安らぎであり目標であり勉強であり

お気に入りの店がある。先日もそこに顔を出した。
BARが何件も立ち並ぶ激戦区にその店はある。
初めてその存在を知り、初めて訪れて以来月に一度は行くようにしている。
その周辺には幾つものBARがあるが、他のBARに行く気にはならない。それほどまでに素晴らしい店だ。
喧騒もなく、現実もなく、慌しさもない。
あるのは静寂と夢と落ち着いた時間。そして、美味い酒。
バックバーは雛壇になり、全てのボトルが目に入る。
光り輝くそれらのボトルは、洪水のように押し寄せてくる。
目の前にあるグラスを傾けながら、次は何を飲もう、あのボトルは何だろう、そう考える時間がこの上なく楽しい。
迷ったらマスターに相談するのも楽しい。
酒に精通したマスターが、美味いウイスキーを、美味いカクテルを出してくれる。
自分が本当に好きなBARであり、目標となるBARであり、何かを得られる場所である。
そう簡単に人には教えられないBARだ。
自分の隠れ家にしたい。それでもこの素晴らしさを人に薦めたい。そのジレンマ。
酒を知り、酒を楽しめる人にとって、そこは桃源郷だと思う。
だから自分は高田氏に紹介したかったのだ。
きっと、気に入ってくれたと思う。

そんな場所を持てる自分がとても幸せだと感じられる。
そんな場所が一つや二つあってもいいじゃないですか。